研究プロジェクト「出産・育児体験ディスコースに見る女性の意識と社会・文化環境:日英米比較研究」

 
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2010-2013 科学研究費挑戦的萌芽22653060(代表:秦かおり)

Member: 井出里咲子(筑波大学)岡本多香子(日本女子大学)秦かおり(立教大学)

目的

本研究は次の2つの目的を設定する。第一に、日本社会において「子供を産み育てやすい、女性あるいは社会の意識環境とは何か」を明確にし、社会に提示することである。近年、日本社会の中で女性が子供を産む事を躊躇し出生率が上がらない要因の一つを、女性自身の中に埋め込まれた意識的無意識的な社会規範意識や役割意識の存在であると位置付け、その実態と変遷を女性の出産育児体験のディスコース分析によって明らかにする。調査地域を日本国内2拠点及び英国米国各1拠点に設定し、国内地域比較・国際比較を行うことで、日本社会の特性を明示する。また、第二の目的は、幾つかの学問分野に属する研究者がそれぞれのアプローチを出し合い、分野を超えて一つの社会的目標達成のために連携するモデルケースを示す事にある。具体的には言語学(語用論)、社会学、コミュニケーション学、人類学(言語人類学)という、異なる分析的理論的背景を持つ研究者がデータを共有し、視点の融合を目指す。(科学研究費申請書より)

研究計画

2010年度:これまでの国内調査でのデータに加え、井出・岡本が国内調査を、秦が英国ロンドンにおける調査を担当。これまでの分析において、規範意識の表出を語用論的側面等から観察し、国内での地域差・職業差を分析して来たが、2010年度は更に国内調査を充実させると同時に、英国に渡り育児をする日本人女性へのインタビューを敢行。異なる文化社会で子育てをしていく中で母として妻としてのアイデンティティ獲得のプロセス、語用への影響などを分析した。

2011年度:米国で(出産)育児をする日本人女性へのインタビュー調査(井出・岡本担当予定)、及び英国で(出産)育児中の英国の文化的背景を持つ女性(国籍は問わず、英国で(産まれ)育った女性)へのインタビュー調査(秦担当予定)。

2012年度:米国で(出産)育児中の米国の文化的背景を持つ女性(上記同様国籍は問わない)へのインタビュ−調査(井出・岡本担当予定)

3年間を通して各メンバーが随時研究成果を発表し、その様子はこのホームページで報告していきます。