研究プロジェクト「出産・育児体験ディスコースに見る女性の意識と社会・文化環境:日英米比較研究」 - 業績一覧

 
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2010-2013 科学研究費挑戦的萌芽22653060(代表:秦かおり)

Member: 井出里咲子(筑波大学)岡本多香子(日本女子大学)秦かおり(立教大学)


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業績一覧

学術論文

「英国在住の日本人女性にみる規範意識の表出と言語使用:インタビューによる日英比較調査をもとに」

『立教大学ランゲージ・センター紀要』第25号
平成23年1月

出産・育児を体験した英国在住の日本人女性29名にインタビュー調査し、母として妻としての新しいアイデンティティの獲得プロセスに、文化社会的な期待や抑圧がどのように関わるのか、またインタビューという場のコンテクストにおける言語使用の特徴を分析した。

“How Direct/Indirect Indexicality Functions in Japanese Women's Narratives of Childbirth and Childcare Experiences: A Study of the Relationship Between the Sociocultural Context and Representation of Social Norms”

『英米文学研究』第43号 pp. 55-77 日本女子大学文学部英文学科
平成20年3月

日本で出産・育児を体験した日本人女性にインタビュー調査を行い、日本人女性としての規範意識がどのように内在化され、そして言語化されるかを分析。Direct/indirect indexicality理論を用い、様々な人間関係の中で、適切に規範意識を表出させる為の暗黙のルールを提示した。

Proceedings

「語り手の心的距離と言語表現:日本人女性の出産体験談における規範意識の表出を事例に」

『アジア・オセアニア地域における多文化共生社会と日本語教育・日本研究』 pp.252-259 第8回国際日本語教育・日本研究シンポジウム
平成21年5月

日本人女性が出産・育児を語る時の人間関係(特に年齢的上下関係)が、如何に言語的表出方法に影響を与えているかを分析。特に語る内容が規範意識である事を理由に、本来人間関係で固定されているはずの敬語使用に変化がみられた事に着目し、相手との距離をバランスよく保つ方策の一つとしての語用を発表した。

学会発表

“A dilemma and mismatch between normative consciousness and language use: A case study of interview narratives of Japanese women living in the UK”
(パネル発表:登壇者)

第12回国際語用論学会国際大会 於:マンチェスター大学(英国)
平成23年7月(予定)

英国在住で育児をする日本人女性へのインタビューを中心に、母としてのアイデンティティの獲得と、インタビューという場における人間関係と言説の関係性を分析した。その結果、新しい社会でのアイデンティティの確立のために、過去の所属集団で培った規範の否定が見られたが、その言説内容とは裏腹に、日本人女性が調査者であるインタビューの場において「期待される日本人女性像」を形作る語用論的ルール(敬語の使用やつつましやかな言説方法)は固守するというジレンマが起こる事が分かった。

“Language use in Japanese women’s narratives on marriage, childbirth and childcare”
(パネル発表:企画責任者)

第12回国際語用論学会国際大会 於:マンチェスター大学(英国)
平成23年7月(予定)

井出里咲子(筑波大学)岡本多香子(日本女子大学)佐藤彰(大阪大学)有田有希(ウィスコンシン大学)でパネル構成。企画責任者として要旨の執筆、発表において研究の概要と司会を担当予定。発表はナラティブ研究の視点から、日本人女性のアイデンティティと自己肯定感の獲得を、社会規範の側面から考察する。

異文化におけるアイデンティティ獲得プロセスと言語使用:英国在住日本人女性のナラティブ分析

「言語と人間」研究会6月例会 於:立教大学
平成23年6月

日本を離れて英国ロンドンという異文化環境で出産・育児をしている日本人女性が、どのような体験をし(「内容」)、またその体験をどのように解釈して(「評価」)、新たな文化社会環境に適応した意識を再構築しているのか、またインタビューという場でそれをどのように語るのか(「方法」)を分析する。また、調査実践を通してインタビューナラティブを分析することの有用性、アクティヴ・インタビューという方法論の本研究における有効性も考察した。

“The distance to disclose our real feelings towards the social norms: an analysis of Japanese women’s discourse on childbirth and childcare experiences”
(パネル発表:登壇者)

The Sixth International Gender and Language Association研究大会 於:津田塾大学
平成22年9月

インタビューの場に現れるナラティブディスコースにおいて、相手との心的距離感を適切に保つ方法をスタイルシフト、間(pausing)、身体的に距離をとる、トーンの変更、引用表現に分け、これらが実際の言説の中でどの様に使われているのかを分析した。その結果、語り手と受け手の心的距離をとる語用論的使い分けは、経験値やコンテクストよりも、年齢の上下との相関性が高い事を発見した。

“How can our heart negotiate with our environment? Language use as a negotiation tool in childbirth and childcare experiences in Japan”
(パネル発表:企画責任者)

The Sixth International Gender and Language Association研究大会 於:津田塾大学
平成22年9月

井出里咲子(筑波大学)岡本多香子(日本女子大学)との共同研究でパネルを構成。企画責任者として要旨の執筆、パネル発表においては研究の概要と司会を担当した。発表は共同研究においてインタビューデータを共有する3人が、それぞれスタイルシフト、恩恵表現、引用表現を分析し、ナラティブ研究の可能性を探った。

“How are Social Norms Represented in a Sociocultural Context?: A Case Study of Japanese Women's Narratives of Childbirth and Childcare Experiences”(ポスター発表:単独)

第11回国際語用論学会国際大会 於:メルボルン大学(オーストラリア)
平成21年7月

日本人女性の出産・育児体験談において、規範意識をどのように表出させるかを分析し、「教示型」「共感要求型」「自己完結型」に分類した。それらが現れる言説の中から、特にスタイルシフトと引用表現がもつ意味を考察し、文化的背景としての社会規範が語用論的ルールに如何に影響を与えているかを示した。

「出産体験談における言語表現スタイルシフトとその指標的機能」(口頭発表:単独)

Japanese Studies Association of Australia国際研究大会 於:ニューサウスウェルズ大学(オーストラリア)
平成21年7月

日本人女性の出産・育児体験談において、社会規範や規範意識が言説上どのように表出するかを考察し、類型化を試みた。「人間関係を適切に保ちつつ規範を表示する」為の工夫の一つとして、スピーチスタイルシフトを取り上げ分析した。

「語り手の心的距離と言語表現:日本人女性の出産体験談における規範意識の表出を事例に」(口頭発表:単独)

第8回国際日本語教育・日本研究シンポジウム 於:香港大学 香港
平成20年11月

日本人女性が出産・育児を語る時の人間関係(特に年齢的上下関係)が、如何に言語的表出方法に影響を与えているかを分析。特に語る内容が規範意識である事を理由に、本来人間関係で固定されているはずの敬語使用に変化がみられた事に着目し、相手との距離をバランスよく保つ方策の一つとしての語用を発表した。

「日本人女性の出産体験談における社会規範の表出から見た直接的/間接的指標性の機能について」(口頭発表:単独)

社会言語科学会第21回研究大会 於:東京女子大学
平成20年3月

日本人女性が出産・育児を語る時、その母性・家制度・家族間役割においてどのような規範意識を持ち、それを語る際の言語使用にどのような語用論的特徴があるかを調査。理論的背景として、言語人類学からSilverstein, Ochsの指標性理論を援用して分析、発表した。

「日本人女性の出産体験談にみるイデオロギーの表出と記憶の構築」(ポスター発表:共同発表)

社会言語科学会第20回研究大会 於:関西学院大学
平成19年7月

岡本多香子、秦かおり共同発表。インタビュー調査を分担。当該発表については秦が執筆を担当。出産・育児経験のある日本人女性としてのアイデンティティはどのように表出し受け継がれていくのかを80代から20代までの女性にインタビュー調査し、その結果をまとめて発表した。